東急8000系列の座席の形態分類

座席定員および座席幅

当初の8000系・8500系は極力座席定員を多くとれることおよび、側入口脇に乗客が立つのを防ぐことを狙って、側入口間8人車端4人がけと限界まで長い座席とされた。しかし、それでも側入口脇に乗客が立ち混雑時の乗降の妨げとなるため、10次車の軽量試作車では側入口間7人車端3人がけとして側入口脇にスペースが設けられた。

12-1次車で登場した軽量試作車の量産バージョンである8090系でも引き続き、軽量試作車と同様に側入口間7人車端3人がけとされた。また、8000系・8500系でも12-3次車からはコルゲーション付きではあるものの軽量車体とされ、座席定員も側入口間7人車端3人がけとされた。

軽量車の車端3人がけは実際には3.5人がけの相当の長さで余裕があったため、15次車(8090系を除く)では車端のみ4人がけとされた。しかし、4人がけでは狭すぎるため16次車以降は3人がけに戻された。

1992年から8000系の室内更新、1998年から8500系の車体更新が始まり、ともに非軽量車の側入口間8人車端4人の座席が側入口間7人車端3人がけに変更された。なお、軽量試作車の8255、13次車の8841は当初から側入口間7人車端3人がけだったため更新前後で座席定員の変化はない。また、1998年から大井町線所属に所属する8000系の車体更新が始まったが、こちらは座席定員の変更は行われていない。

座席定員および座席幅一覧表
車両側入口間車端
全体幅人数1人あたりの幅全体幅人数1人あたりの幅
非軽量車 3350mm8人418.75mm1725mm4人431.25mm
14次車以前の軽量車 3010mm7人430mm 1555mm3人518.333mm
15次車(8090系をのぞく) 3010mm7人430mm 1615mm4人403.75mm
16次車 3010mm7人430mm 1455mm3人485mm
18次車以降の編成車・21次車・更新車3080mm7人440mm 1440mm3人440mm
  • 非軽量車は軽量試作車および8090系をのぞく1次車~12-2次車。軽量車は軽量試作車、8090系および12-3次車以降。更新車は8000系の室内更新車および8500系の車体更新車(8841号をのぞく)。
  • 図面上の数値を優先したため、鉄道ピクトリアル2004年7月臨時増刊号の「8000系グループの足跡」とは15次車・16次車の車端部座席長さが異なる。なお、15次車で1540mm→1600mm、16次車で1540mm→1440mm(8090系)という記述は存在するが、これらは14次車以前の軽量車が1540mmとされているため基準が異なると思われる。

そで仕切

図1 そで仕切の分類
図1-1 初期型図1-2 中期型図1-3 9000系型
荷棚からおりてくる縦棒および背ずり上端付近の横棒の組み合わせ 荷棚からおりてくる縦棒、背ずり上端より少し上の横棒およびその横棒の中央からおりる縦棒の組み合わせ 荷棚からおりてくる縦棒、背ずり上端より少し上の横棒および背ずり上端付近から下のパネルの組み合わせ<
  • 図1-1 初期型: 1次車~12-3次車(1次車は座席の奥行きが浅く、座面の高さが高い。また、横棒の位置が若干高く、座面下の横棒が端まで届いている)
  • 図1-2 中期型: 13次車~17次車・18-1次車~20次車の組み込み車
  • 図1-3 9000系型: 18-1次車以降の編成車・21次車・8000系室内更新車・8500系車体更新車(13次車の更新車8841をのぞく)

中仕切およびスタンションポール

18-1次車の編成車からは同時期に製造された9000系に準じた中仕切が設置された(図2-1・写真)。組み込み車については、従来のままの仕様とされ中仕切は設置されなかったが、19-1次車からは中仕切が設置された。なお、19-1次車もそで仕切は従来のままの中期型である。

1992年から東横線所属の8000系における10次車以前の車両を対象に室内更新が始まり、中仕切に加えて2000系2401・2402で試行されたスタンションポールが設置された(図2-2)。

1998年からは8500系についても12次車以前の車両を対象に車体更新が始まったが、中仕切は設置されずスタンションポールのみ設置された。このスタンションポールは途中で折れ曲がりがあり、東横線所属の8000系における室内更新車と多少形状が異なる(図2-3・写真)。基本的に12次車以前の車両に対して行われたが、例外的に13次車8841は2001年2月に車体更新が行われ、そで仕切などはそのままにスタンションポールが設置された。

また、2001年から2006年にかけて8500系の廃車編成に含まれる若年車が他の編成へ組み込まれたが、この際、車体更新実施編成に組み込まれた車両には更新車同様にスタンションポールが設置された。該当車両は8617Fに組み込まれたの0704、8628Fに組み込まれた8897・8793で全車2007年春に現車確認している。13次車の車体更新車の8841同様、スタンションポールの設置のみでそで仕切などはそのままである(写真)。

大井町線所属の8000系は1998年から車体更新が始まったが、室内については化粧板の張り替えなどにとどまり、中仕切およびスタンションポールは設置されなかった。

図2 中仕切およびスタンションポールの分類
図2-1 9000系型図2-2 2000系型図2-3 8500系型
中仕切り中仕切りとポール折れ曲がりのあるポール
  • 図2-1 9000系型: 18-1次車以降の編成車と19-1次車以降の組み込み車
  • 図2-2 2000系型: 8000系室内更新車
  • 図2-3 8500系型: 8500系車体更新車と8500系車体更新編成に近年組み込まれた車両

蹴込み板の穴

縦穴と横穴 19次車以前の軽量車:
横穴11段 20次車の8590系:
横穴15段 20次車の8500系、21次車、8000系室内更新車、13次車以外の8500系車体更新車、8500系未更新車の一部車両:

例外的に横穴15段の車両が存在する。確認した車両は8632F・8642Fの一部座席とデハ8841の下り方車端の座席である。

18-1次車組み込み車の写真 縦穴と横穴のタイプ

  • 縦穴と横穴

写真

  • 8727号 2007-02-04 中央林間
  • 8637号 2007-02-04 中央林間
  • 8633号 2007-02-04 中央林間
  • 8623号 2007-02-04 中央林間

参考

  • 根岸旭台鉄道研究所
  • 高橋英樹「8000系グループの足跡」『鉄道ピクトリアル』2004年7月臨時増刊号(通巻749号)特集・東京急行電鉄、鉄道図書刊行会。